STUDIO NOTE

一般的に店舗の施工費用ってどれくらいかかるか、その相場感ってご存知ですか?前職では設計施工の会社だったので、だいたいざっくりと相場感はこんな感じで言われていました。

 

【1坪あたり20万円〜30万円】

オフィスや大規模の量販店など、塩ビタイルか長尺シート程度の安価な床材と既製品什器、全体を照らすようなシンプルな照明、壁は極力少なめで仕上も壁紙程度。良くも悪くもチープ&デイリーな感じ。ただ、居抜き物件の場合はこれくらいの予算でそこそここだわった飲食店も作れたり。

 

【1坪あたり40万円〜50万円】

一般的なビルインのアパレル店舗くらい。少しこだわった塩ビタイルか、安価なフローリング程度。什器は木工+化粧板仕上程度。照明はダウンライト等を組み合わせて、棚下に間接照明などを入れたりも。路面店でファサード造作があるともう少しかかる事も。

 

【1坪あたり50万円〜60万円】

一般的な飲食店を居抜きではなくスケルトンから作る場合がこれくらい。厨房の規模、空調や防災設備の規模、その他防水工事の有無や仕様でかなり値段が上下します。安く作る場合は床材や壁材などの広い面を安価な仕上材にしたり、家具のグレードを下げたりして調整する事も。逆に壁を左官やタイルにしたり、ちょっとこだわった造作をするとあっという間に予算オーバーしたり。

 

【1坪あたり100万円〜】

ラグジュアリーブランドや高級ホテルのフロントまわり、こだわりのアパレルや高級飲食店など。このクラスになると床は天然石や厚みのある無垢フローリング、什器も金物とガラスや無垢の木材に間接照明を仕込んだり。ほぼ全てが特注のこだわりのお店では坪単価が300万近い超高級店もあります。

 

※大手の施工会社に頼んでいわゆる商業施設にお店をつくる場合の参考金額です。

※居抜き物件だったり、工事種別ごとに分離発注したり、+DIYをしたりすれば上記予算より安くこだわって作れたりもします。(ただし、そのぶん手間がかかったりリスクがあったりもします。)

※飲食店の場合は設備と厨房機器を含んだ費用です。居抜きだとこれらを流用できたりするので安くすみます。他にも中古厨房機器を使ったりしても安くできますね。

 

さて、こんな感じの費用感の中で色々と調整しながら設計をしているのですが、僕がその中で一番コストパフォーマンスが良くこだわった効果が出やすいと思うのがスイッチプレートとコンセントプレートです。

 

161029-4設計時になにも指定していないと、電気屋さんではこれをつけてくれます。いわゆるフルカラーと呼ばれているもので、Panasonic(旧ナショナル)製のよくあるやつ。ホームセンターなんかでも手に入る普及品です。ちなみにお値段は100円程度。

 

なんにもこだわらなければ機能的にはこれで必要充分なのですが、せっかく壁の色や仕上にこだわったのに、このスイッチプレートがついちゃうとあきらかに浮きます。個人的にはこれは絶対に避けたいので、コンセント指定の図面を毎回余分につけています。

 

161029-1こだわりたいお店で大人っぽく無骨に仕上げたい時に使う事の多いaizaraの黒皮鉄板プレート。この写真は暗めのバーの入り口側のスイッチなので、ほたるスイッチというOFFの時にちょっと光って暗闇でも位置がわかる仕様にしています。もちろんスイッチも黒色を選定。

 

何もコーティングされていない酸化皮膜だけの鉄板なので、手で触れていると油分で錆びが浮いたりくすんだりします。この経年変化が渋くてとってもかっこいい!ちなみにお値段は2300円。100円に比べると高いのですが、店舗全体の100万円単位の改装費からすると微々たるものです。

 

一見すると特殊なプレートっぽいのですが、普及品のPanasonicの下地金物枠にマグネットでくっつけるという方法なので、意外とリノベーションでもそのまま使えたりで扱いやすいのも良いです。

 

161029-2SLOWGELATOでも使っていて、OFFRECOで一番よく使うのがJIMBOのNKシリーズのスイッチプレートとコンセントプレート。角がすっきりしていてカラーバリエーションも白・黒・グレーと3色あってだいたいのお店の壁に合います。ちなみにお値段は500円くらい。

 

ただ、このNKシリーズは仕様によってはプレートをとりつける金具やスイッチなども指定品じゃないと適合していなかったりして、トータルでは一箇所あたり1000〜3500円くらいになります。

 

また、ちょっと欲しい時にホームセンターに行っても手に入らないので、電気屋さんには面倒がられたり。なので事前に数と仕様をしっかり図面化して、電材を発注しやすいように段取りしてからお願いしています。

 

161029-3ちょっとアンティーク風のお店なんかに似合うアメリカンプレートとシンプルなスイッチの組み合わせ。これは梅田のセレクトショップを設計した際に入れました。写真は4連型ですが、2連型スチール製プレートだと1300円くらい。プラスチック製だと450円。珍しい陶器製もあって、陶器はちょっとお高い2200円。

 

これまたホームセンターではまず売ってないので、こういう仕様でこういうものをつけて欲しいという図面を作って電気屋さんにお願いしないといけません。発注までは面倒ですが、店内の見える箇所につけると効果抜群です。スチール製なので樹脂製品にはない触るとちょっとひんやりするの感触も良いんです。

 

色々紹介してきましたが、これ以外にもコックピットのスイッチみたいなトグルスイッチとか、昭和レトロなトグルスイッチとか色々あります。ほんと、物件によってきちんと選んでつけてあげなきゃもったいない。

 

神は細部に宿る、ではないですが、ちゃんとお店がデザインされているかどうかはコンセントやスイッチを見ていると結構わかったり。

 

空間の中でスイッチって絶対に触る箇所なんですよね。オーナーさんにとっても毎日触れる場所。そう考えると、ちょっとこだわって良い物つけてみたくなりませんか?

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