STUDIO NOTE

前回のジェラート店のできるまでのリノベーション日記の続きです。今回はプロジェクト施工前の現地調査の時のお話をしましょう。上の写真がいちばん最初に現地入りしてヒアリングをした時の写真です。

外観をぐるぐる歩いて回った時に、まずこの自動販売機が目につきます。自動販売機は設置場所によっては良い売上げをあげてくれる事もありますが、今回はリニューアルにあたってこの自販機はお店の顔になる位置にあるので、まっさきにお願いして移設してもらいました。

160410-2移設してお店の顔が見えてきましたね。施設の利用者さんが作ったという出窓のステンドグラスと、サイディングのレンガ積み風の壁面が出てきました。

このサイディングという外装材は物によってはとても良い物もあるのですが、今回のものはタイル積み風の外観をより安価にお手軽に再現する目的の物。この○○風というものがどうにもチープな印象を出してしまうので、できれば取っ払いたい。しかし、外壁工事は雨仕舞いといって風雨の対処などいろいろと面倒も多く、コストもかさみます。

今回のプロジェクトのいくつかのキーポイントのひとつがこの外壁。既存の防雨性能などをそのままに、新しい顔をつくる事です。ここはデザイナーの仕事のしどころですね。

160410-3160410-4店内に入って、お店の心臓部でもある厨房のチェックです。全ての設備機器と、コンセントの位置や給排水のメーターや立ち上りの位置、ガスの配管位置、空調機や給気・排気設備などを確認していきます。

今回のお店の厨房はカフェとしてはとても充実している設備。ジェラート店を開業するにあたっては通常の飲食店営業許可ではなく、アイスクリーム類製造業という許可が必要になります。その許可をとるために必要な設備も、製造機を入れてメイン厨房とドリンク厨房を仕切るくらいで解決できそうです。

通常、飲食店営業許可をとる場合の基本設備が手洗専用設備(いわゆるL-5と呼ばれるもの)、2槽式シンク、温度計付の冷蔵庫、扉のしまる食器・食材棚、客席との腰高以上の仕切りです。これらに清潔で衛生的な環境を維持できる内装仕上などが求められます。もちろん、上記の許可設備以外に営業的に必要な設備が足されて厨房計画を練っていくわけですが、既に設備が揃っている場合はかなり設備投資を抑えられます。

今回は業態転換ですが、この諸設備の費用を抑えられそうなのはとても好感触でした。

160410-5こちらが店内。ジェラート店としてリニューアルするには、まずジェラートケースの置場が必要ですね。ケースの置き場は当然、レジのオペレーションと絡むのでカウンターと並んでいるのがマストです。

既存のカウンターはドリンク厨房と一緒に作られていて、おそらく防水区画の立ち上りもありそうです。これは素人仕事では改装はむずかしいので、工務店さんにお願いして解体→新規カウンターの下地形成をお願いする事に。

肝心の内装の方は、いわゆるコテージ風のブラウン系木目が中心の仕上り。ほっこり系とでも言うべきでしょうか。ところどころに手作り感もありますが、全体的に垢抜けない印象。これはリニューアルのやりがいがありそうです。

構造となる4本の柱や出窓などはいじらない方が良さそうですし、天井の点検口から屋根裏をのぞくと八角形の建物の形状を支えるために梁と柱が結構がっちり組まれています。これでは天井を落として天高を高くとるようなリノベーションも向いていなそう。

今のブラウン系の空間をどうやってSLOWLABELのブランドカラーである白い空間+ポイントになるプロジェクトカラーを入れ込んでいくかが課題です。

ここがデザインのしどころなので、東京に戻ってじっくり考えつつやりとりを進めることに。

そして、プランも詰まりつつ、オープン日も迫ってきてリノベーション工事の乗り込みの日を迎えました。

さて、次回はまた内装工事に戻って工務店さんに依頼した工事内容の事などをお話しましょう。

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