STUDIO NOTE

OFFRECOのフィロソフィーでも書いているのですが、空間をデザインする上で体の触れる場所が重要だと考えています。特に手の触れる場所、棚の取手やドアノブや照明のスイッチ類などは一見すると脇役のようなイメージですが、そこにこだわる事で空間全体に美意識の張りが出るのです。

写真は半年ほど前に事務所のオープン棚にトビラをつける際に、トビラと一緒に製作した革製の取手。棚も含めて全てDIYで作った物なのですが、なかなか気に入る取手が見つからず、最終的には取手も製作する事にしました。

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横から見るとわかりますが、作りは思い切って表面以外はかなり無骨な感じになっています。実用に徹しているのでトビラの側面や裏面の仕上はナシ。取手の革はヌメ革のブライドルレザー。ブライドル=馬具として使われていた丈夫なナメシ革の事で、厚みもあり耐久性が高いのが特徴です。この取手はブライドルレザーをプレートで固定するだけというとてもシンプルな納まりで作っています。

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すでに製作して半年くらい使っているので、レザーも経年変化して良い感じに飴色がかってきました。こうした古びる事で表情が出るのが無垢の素材の良いところです。新品で取付けたときが100点であとはすり減っていくものではなく、経年変化とともにより価値の積み重なっていく素材に、美しさやたくましさを感じます。お店もやはり作った時が100点ではなく、開業して日々商いをする中で磨かれ成長していくような空間にしたいです。

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トビラの素材は構造用のシナ合板の木目がきれいな物を選んで、オスモカラーの白を刷毛塗りしたものです。あえて床用の滑り止めビーズ入り塗料を使っていて、ビーズ入り塗料独特のザラっとした質感と下地の木目がうっすらと浮き出ていて、大きな面でも単調な質感にならずに表情がいきてきます。撥水性能や防汚性能の高さも通常塗料よりも強く、幼児が舐めても大丈夫という安全性の高さもポイントです。

 

取手のブライドルレザーはメイド・イン・ジャパン。国産の皮革メーカーというと栃木レザーか姫路レザーが有名ですが、今回はヌメ皮の経年変化を楽しみたかったので栃木レザーを選びました。

 

この取手は結構気に入っているので、今後の設計するお店でクライアントさんとイメージがあえば取り入れてみたいと思っています。切りっぱなしの皮でしおりみたいにしても良さそうですね。

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